最近のペットたちにみられる病気は、昔と比べるとその質が変わってきたように感じます。ひと昔前、ちょうど私たちが子供の頃は、ペットの病気といえば、感染症や伝染病あるいはケガが主ではなかったでしょうか。
狂犬病やパルボウイルス、ジステンパーウイルス、パラインフルエンザウイルス、猫白血病ウイルス、猫カリシウイルスなど。感染、発症すると命のキケンのある感染症が多く、その度ごとに命を落とす犬猫たちがたくさんでした。
しかし、現代では、めまぐるしい医療の発展をとげ予防医学が発達し、ワクチンの普及、予防薬の開発によって、リスクの高かった病気の感染をあらかじめ防ぐことができるようになりました。そしてまた、多種類の抗生物質がつくられ、いろいろな病原菌をやっつけることで、それまでは命を落としていたような病気が克服されていきました。しかし、医療の発達、予防医学の発達、抗生物質のさらなる開発によって、人や動物(ペット)は、健康になり、病気知らずの体になったかというと、そうではありません。
現実おきている状況は、かつて期待されていたものとは違います。時代が進むごとに、病気になる人や動物(ペット)がどんどん増え、さらには抗生物質の効かない感染症や精神的な病、慢性経過をたどるしかない生活習慣病などが目立ってくるようになりました。病気が減るどころか、複雑な病気が年々増えているように感じます。
現代医療の象徴は薬です。その中でも特に毎年新たに開発し続けられる抗生物質です。抗生物質を使って、とにかく敵(細菌)を退治しようとします。しかし、人間側が一方的にそうした姿勢を続けることは、良い結果をもたらしません。自分たちにとって、都合の良いものは残し、悪いものは排除する。この姿勢をかえない限り、自然は味方になってくれません。逆に自然からのしっぺ返しをくらいます。人も動物も自然の中に生きています。自然に生かされています。自然に勝つことはできません。
私たちの生活の中には、さまざまなウイルスや菌がいます。日常的に空気中をただよっています。食事をし、呼吸をしているだけでも、自然と体の中にたくさん取り込まれています。体内に入った菌やウイルスが原因で、病気になるか、ならないか。それは、個々の抵抗力や免疫力が大きく関わっています。人や動物、自らの体がちゃんとした免疫や抵抗力をもっていれば、体内に入ってきた菌やウイルスを適切に排除することができます。お互いに共生することができます。要するに、病気になるのは、周りにいる菌やウイルスが悪いのではありません。それに対応できない、弱い免疫力しかない体の方に問題があるのです。そして、ストレスや環境汚染物質、化学物質、食品添加物など、人間の都合でつくりだされた問題の数々が原因となり、体を弱くさせています。
「除菌」「殺菌」「消毒」「無菌」「抗菌」・・・・・人間はこれらの言葉が大好きです。ウイルスや細菌は、この世から徹底的に排除しようとしています。ウイルスや細菌は、みんながみんな悪い子たちばかりではありません。良い子もいれば、悪い子もいて、でも、いろいろな子がいて、調和しています。人間の体を守ってくれている細菌だってたくさんいます。
しかし、人間の無知な行為によって、これらの有用菌もすべて敵にされてしまっています。すべてが人間ベースです。人間にとって、都合がいいか、そうじゃないか。自然にとって、生き物たちにとっての都合は考慮されません。
人間にとって都合の悪い相手をやっつけることに意識を向けることよりも、周りを受け入れ、共生することのできる体をつくることの方がより理想的だと思います。
そして、こうした点においては、現代医療よりも植物療法の方が得意としています。自然の恩恵に感謝しながら、植物の力を借りる。その姿勢が植物療法にはあります。体の抵抗力、免疫力をどうつけていくか。自然治癒力をどう養っていくか。体内環境をどう浄化していくか。目に見えないストレスをどう克服していくか。環境中の有害物質にどう対処していくか。様々な課題に対して、植物たちは、抗生物質(薬)以上の働きをしてくれます。
また、現在使用されているあらゆる薬剤が「止める」ための薬です。「痛み止めの薬」「咳止めの薬」「かゆみ止めの薬」「下痢止めの薬」「吐き気止めの薬」・・・・・・・薬のほとんどが、「○○○止めの薬」です。今おきている症状を止めることが基本になります。これはこれで、体にとっても、その子にとってもすごく大事で必要なことですが、見方を変えれば、「止めた」だけです。こうなった根本的な原因を見つめ、治しているのではないですよね。「止めた」ことによって、もちろん症状は改善し、体も楽になります。でも、そうなった原因を治さなければ、また同じことが繰り返されるかもしれない・・・治ったように見えて、実は治ってないこともあるかもしれない・・・薬で一時的に抑えられているだけで、薬が切れるとまた再発するかもしれない・・・また同じようなことが起きないように、体作りをしていったほうがいいのでは・・・免疫力、抵抗力をつけていくことが大事なのでは・・・適応力、対応力をあげていく必要があるのでは・・・・・・・ いろんな疑問がわいてきます。
要するに、西洋医学とその他の代替医療を融合させて、いろいろなアプローチ、視点があったほうがいいのではと感じています。
代替医療、その中でも植物を使ったケアは、人にも動物たちにも、とても優しく働きます。体だけでなく、心も癒してくれます。自然に沿った治療方法だからこそ、体の中にもすーっと自然に作用するのかもしれませんね。
医療が発達したにもかかわらず、多種多様の病気がますます増える一方の今、そして、社会全体がどんどん自然に反する方向へ向かっている今、そんな今だからこそ、自然の力にそむかず、自然の恵みに感謝する心をもって、植物たちを受け入れてみませんか。そして、そこからいただく恩恵を大事に利用してみませんか。
植物療法。植物ケア。植物、動物、自然を大切に思う気持ちがここにはあります。自然にそむかず、自然に身をゆだねる姿勢で、植物の力を自分たちの生活の中に生かしていきましょう。
毎日の暮らしが、より楽しく、より快適なものになりますように。。。
植物に優しく、動物に優しく、生き物に優しく、自然に優しく。。。
そう願いをこめて。。。